(以下の文面は上田彰が英文および独文を参考にして行った私訳です。This text is a private text by Akira Ueda.)

世界福音同盟およびセブンスデー・アドベンチスト教会による共同宣言(2007)
Joint Statement of the World Evangelical Alliance and the Seventh-day Adventist Church(2007)

はじめに
1.
2007年8月6日から9日にかけてミシガン州アンドリュー大学において神学的対話がもたれ、セブンスデー・アドベンチスト教会(SDA、以下「アドベンチスト教会」と略す)および世界福音同盟(WEA、以下「福音同盟」と略す)の代表者が参集した。今回の集まりは昨年8月8日から11日までチェコ・プラハの国際バプテスト神学校(IBTS)で行われたものの継続である。
1.1
対話はキリスト教的交わりと共同の学びの元で様々な国において歴史的発展を遂げた、信頼に基づいた共同作業を通じて友好的に行われた。
1.2
今回の目的は両者の共同の結論を形式的に求めるものではなく、信仰と働きについての相互理解と実りある共同作業の可能性を地域・国レベルで探るものであった。世俗化、あるいはキリスト教以外の宗教やイデオロギーが世界的に広まりつつある中で、共同歩調をとりキリストを証することはキリスト者への要請の一つとなっている。

共通の信仰について
2.
参加者は信仰とスピリチュアリティーの領域での共同歩調がとれることを喜んでいる。アドベンチスト教会は世界福音同盟の信仰規準(下記参照)に同意し、特に以下の事項について無条件に同意した。すなわち、神の言葉(聖書)の権威と優位性、三位一体、キリストの神性と人性についての教え、キリストを信じることによってのみ与えられる救い、祈りの重要性、個人的な回心と聖化、さらにキリストの再臨と最後の審判が近いことへの聖なる望みを堅くすることについて。またキリストの再臨については、日付を特定する性格のものではないことも一致した。

同意がみられなかった点について
3.
教理と神学についての大幅な合意がみられた一方で、何カ所かで意見が相違した。
3.1
週ごとの休息と礼拝の日の意義については、十戒の第四戒(安息日律法)に基づき一致した一方で、それがどの日であるかについては一致しなかった。福音同盟の代表者は主のよみがえりである週の初め(日曜)であるとし、アドベンチスト教会はキリストを通じての創造と解放の記念である週の七日目がそれであるとしている。
3.2
アドベンチスト教会の天の聖所についての教え、およびそれと関連してキリストの再臨以前の審きについての教えは一致をみなかった。ダニエル書および黙示録についての理解にもとづきアドベンチスト教会は、1844年にこの審きが始まっている、としている。これについて福音同盟は、明確な聖書的根拠が欠落している、として同意しないが、アドベンチスト教会は聖書解釈によってイエスの再臨に向けての準備を伝える伝道命令の緊迫性と世界的な意味合いとを読み取っている。
3.3
この神学的対話において、エレン・G・ホワイト Ellen G. White (1827-1915)の果たす決定的な役割について焦点が当てられた。彼女の果たす役割はあくまで二義的なものであり聖書を副次的なものとしたことについて批判がなされるべきであるという態度がアドベンチスト教会の側から明らかにされた。アドベンチスト教会は自分たちの教えを聖書から導き、それ故に聖書によって確認する、ということである。アドベンチスト教会の側では、ホワイトの役割は重要かつキリスト中心的なものであった、と主張する一方で、福音同盟の側からは、イエスの名によって集められた教会全体にその重要かつ霊的な役割は妥当するのだろうか、という問いが投げかけられた。

共同作業の領域について
4.
両者の信仰基盤についておおむねの一致をみたので、共通の事柄についての共同作業の可能性が見いだされ、両者は共同で作業に当たる際にもおのおのの信仰的独自性を忠実に保持したままでいる権利と義務が確認された。宗教的自由と寛容、善意と相互尊敬が優先される。

4.1
対話に参加した者は兄弟的な精神によって対話が導かれ、主にある兄弟姉妹として会見し、議論できたことについて神に感謝した。適切と思われる場面において、祈り、聖書研究、聖書配布といった諸分野、さらにはキリスト教的愛と交わりの精神を持って対応すべき、宗教的自由や緊急性を要する社会的な事柄についての協力を奨励する。ここでの経験を豊かなものとするために、参加者はおのおのの委員会においてあらゆるレベルでの審議を進めることとする。
「私たちの主であり救い主であるイエス・キリストの恵みと知識において成長しなさい。このキリストに、栄光が、今も永遠の日に至るまでもありますように。アーメン。」(第二ペテロ3章18節、新改訳)

世界福音同盟信仰規準
1.聖書はすべて誤りなき神のみことばであり、信仰と生活の唯一の基準である。
2.神はすべての造り主であり、唯一で三位一体のまことの生ける神である。
3.キリストはまことの神、まことの人であり、処女マリヤより生まれ、人間の罪のために十字架につけられて死に、全能の神の力によって復活し、神の栄光の御座にあってすべてを支配しておられる。
4.キリストによる救いは罪の束縛と死の力からの解放であり、信じるものは義とされ、聖霊によって新生し、きよめられ、栄化される。
5.教会はすべての信者が聖霊によって一つとされたキリストのからだであり、公同にして普遍である。
6.キリストは世界のさばき主としてふたたび来られる。キリストを信じた者は永遠の生命に、キリストを信じない者は永遠の刑罰に定められる。
(若干文面が異なるが、日本福音同盟の信仰規準より抜粋)

参加者(英語版より抜粋)
世界福音連盟
Dr. Rolf Hille, co-chair (chairman of the
Theological Commission of the WEA)
Dr. Jürg Buchegger
Mr. Bonn Clayton (only 2007)
Dr. Herbert Klement
Dr. Ian Randall (only 2006)
Mr. Sven Wagschal (only 2007)
Joined by
Dr. Reinhard Hempelmann
Pastor James Kautt

アドベンチスト教会
Dr. John Graz, organizer (secretary of the Councilon Interchurch/Interfaith Relations of the Seventh-day Adventist Church)
Dr. William G. Johnsson, co-chair (assistant to the president of the General Conference of Seventh-day Adventists for Interfaith Relations)
Dr. Niels-Erik Andreasen
Dr. Bert B. Beach
Dr. Kwabena Donkor (only 2006)
Dr. Eugene Hsu (only 2006)
Dr. Teresa Reeve
Dr. Angel M. Rodriguez
Joined by
Dr. Denis Fortin (only 2007)
Dr. Roy Gane (only 2007)
Dr. Miroslav Kiš (only 2007)
Dr. Peter van Bemmelen (only 2007)